交通事故 慰謝料
2020.10.13 2022.11.15

交通事故の1日あたりの慰謝料を知りたい

交通事故の1日あたりの慰謝料を知りたい

交通事故が原因で怪我を負った場合、被害者の方は加害者側へ、精神的な苦痛に対しての賠償として慰謝料を請求することができます。

また、交通事故の慰謝料には、入通院慰謝料(傷害慰謝料)、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3種類があります。

本来であれば、慰謝料は被害者の方の様々な事情を配慮して算出されることが望ましいと言えます。しかし、すべての交通事故に対して配慮し、対応することは難しいです。

そのため、交通事故の慰謝料は定型化されている部分があります。

ここでは、慰謝料の1つである入通院慰謝料について計算方法と、その請求対象についてご説明をさせていただきます。

入通院慰謝料の日額

まず、交通事故の慰謝料はどのように計算されて金額が決まるのでしょうか?

そもそも交通事故の慰謝料の算定基準には3つの基準があります。最も低い基準を自賠責基準、最も高い基準を弁護士基準(裁判所基準)、その間に位置するのが、任意保険基準です。

それぞれの算定基準で、入通院慰謝料の金額を見てみましょう。

自賠責基準の計算方法

自賠責基準における入通院1日あたりの慰謝料は、日額で定められています。

よって、慰謝料の対象となる日数で金額が異なります。

自賠責基準慰謝料=日額4,300円×対象日数

※2020年3月31日以前の交通事故は日額4,200円

対象日数は以下の2つの方法で算出され、「少ない方の数値」が採用されます。

①治療開始から治療終了までの治療期間

②実際に治療した日数×2

たとえば、入院期間が30日間、通院日数が90日、治療期間が180日の場合

①180日

②(30日+90日)×2=240日

上記の計算結果となるため、慰謝料は77万4000円となります。

(計算式)

・4,300円×180日=77万4000円

任意保険基準の計算方法

任意保険基準は現在、各保険会社が独自で定めているため、明確な計算方法、算定表は非公開となっています。

ただ、多くの保険会社では、以前各保険会社が統一で使用をしていた基準、旧任意保険支払基準を参考にしておると考えられますので、そちらをご紹介させていただきます。

 

万円

(単位)

入院 1ヶ月

 

2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月
通院   25.2

 

50.4 75.6 95.8 113.4 128.5
1ヶ月 12.6 37.8 63 85.7 104.6 121 134.8
2ヶ月 25.2

 

50.4 73.1 94.5 112.2 127.3 141.1
3ヶ月 37.8 60.5 81.9 102.1 118.5 133.6 146.1
4ヶ月 47.9 69.3 89.5 108.4 124.8 138.6 151.1
5ヶ月 56.7 76.9 95.8 114.7 129.8 143.6 154.9
6ヶ月 64.3 83.2 102.1 119.7 134.8 147.4 157.4
7ヶ月 70.6 89.5 107.1 124.7 138.6 149.9 160
8ヶ月 76.9 94.5 112.1 128.5 141.1 152.5 162.5

 

任意保険基準にて、入通院慰謝料を計算する場合、明確な日額はなく、通院と入院の期間から金額を割り出されます。

旧任意保険支払基準で見てみましょう。

例えば、先ほどと同じ例になりますが、入院30日=1ヶ月、入通院期間が180日=6ヶ月の場合、1ヶ月は入院しているので、通院期間は5ヶ月となります。

上記算定表から見ると、交差する76万9000円が算出される慰謝料の相場金額となります。

なお、このように自賠責基準よりも下回る場合においては、自賠責基準の金額が採用されます。自賠責基準は支払いの最低基準とされるため、下回ることは基本的にありません。

弁護士基準の計算方法

弁護士基準は、過去の裁判例を基に算定表は作成されています。弁護士基準の算定表は、公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部が発行している「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通称赤い本)」に記載されており、2つの表を怪我の程度によって、使い分けて慰謝料は計算されることになります。

むち打ち以外の怪我の場合の傷害部分の慰謝料基準表(損害賠償額算定基準:別表Ⅰ)

万円

(単位)

入院 1ヶ月

 

2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月
通院   53

 

101 145 184 217 244
1ヶ月 28 77 122 162 199 228 252
2ヶ月 52 98 139 177 210 236 260
3ヶ月 73 115 154 188 218 244 267
4ヶ月 90 130 165 196 226 251 273
5ヶ月 105 141 173 204 233 257 278
6ヶ月 116 149 181 211 239 262 282
7ヶ月 124 157 188 217 244 266 286
8ヶ月 132 164 194 222 248 270 290

むちうちなど他覚的所見がない場合に使用(損害賠償額算定基準:別表Ⅱ)

万円

(単位)

入院 1ヶ月

 

2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月
通院   35

 

66 92 116 135 152
1ヶ月 19

 

52 83 106 128 145 160
2ヶ月 36 69 97 118 138 153 166
3ヶ月 53 83 109 128 146 159 172
4ヶ月 67 95 119 136 152 165 176
5ヶ月 79 105 127 142 158 169 180
6ヶ月 89 113 133 148 162 173 182
7ヶ月 97 119 139 152 166 174 183
8ヶ月 103 125 143 156 168 175 184

旧任意保険支払基準と同じく、日額が明確に決まっているわけではなく、入院と通院の期間で算出されます。

では、自賠責基準、旧任意保険支払基準と同じく、下記の場合での入通院慰謝料をみてみましょう。

【入院期間30日、通院実日数90日、治療期間が180日の場合】

表の見方は旧任意保険基準と同じです。入院期間は1ヶ月、通院期間は5ヶ月とされます。

表上にて該当する月数が交差した部分が弁護士基準での慰謝料の相場とされます。

①むちうち以外の場合

使用する算定表:別表Ⅰ 慰謝料は141万円

②むちうちなど他覚所見のない場合

使用する算定表:別表Ⅱ 慰謝料は105万円

3つの算定基準を比べていただくと、弁護士基準で算定された入通院慰謝料が、最も高額となることは明らかです。

任意保険基準と弁護士基準の表の見方のポイントは以下となります。

・縦列を通院期間、横列を入院期間としてみる。

・入院と通院がある場合は、それぞれの月が交差する場所が相場となる。

・「ひと月あたり30日」と考える。

なお、ひと月あたり30日に換算した際に、端数が出た場合は以下のように求めます。

(例)通院40日(1ヶ月と10日)のむちうちの場合(弁護士基準)

10日が該当する月は2ヶ月目の為、2ヶ月目の36万円から1ヶ月の19万円を差し引き、端数日数で割ります。

(36万円-19万円)×10/30日=5万6667円

1ヶ月の慰謝料19万円と端数10日分の5万6667円を合計すると、通院40日の慰謝料が算定されます。

19万円+5万6667円=24万6667円(通院40日の慰謝料)

入通院慰謝料の対象期間

1日だけの通院でも慰謝料はもらえる

意外に知られていませんが、慰謝料は通院がたった1日でも受け取ることができます。

例えば、交通事故に遭い、念のため事故当日に診察を受ける場合があります。

自賠責基準の場合は、日額4,300円のため、慰謝料は4,300円です。

交通事故の発生が2020年3月31日以前の場合については、慰謝料4,200円請求が可能となります。

弁護士基準の場合は、むちうち以外の場合は28万円×1/30日=9,333円、むちうちなど他覚所見のない場合は19万円×1/30日=6,333円とされます。

このように1日だけでみても弁護士基準が自賠責基準よりも高額となります。

通院を途中でやめてしまったり通院頻度が少ない場合

被害者の方が気を付けなければいけないことは、通院を途中でやめてしまうことです。また、通院の頻度が少ない場合も注意が必要です。

先ほどお伝えしたように、基本的に入通院慰謝料は入通院の期間を基軸に計算がなされます。そのため、通院を途中でやめてしまうと、本来もらえるはずの慰謝料は少なくなりますし、通院頻度が少ない場合も同様に、通院の必要性が問われ、慰謝料の減額要素になりかねません。

通院をやめた以上、入通院慰謝料の対象期間から外れてしまいますので、医師が通院する必要はなしと判断するまでは通院は、継続的にかつ定期的に通院を行いましょう。

理想としては、週2~3回の通院、月10回程度を目標とする通院方法です。もし、仕事の関係等で厳しい方は、最低でも月1回は医師の診察は受けてください。1ヶ月以上空いてしまった場合、交通事故と怪我との因果関係が否定されてしまい、慰謝料が払われなくなることもありえます。

整骨院や接骨院に通院した場合

整骨院や接骨院の通院についても要注意です。

病院や整形外科と異なり、保険会社によっては通院ではないとし、慰謝料が減額される可能性があります。

整骨院や接骨院は、医師の資格を有さない、あくまでも施術行為のため、必要性や妥当性がなかったと判断されることがありえるからです。

一方で、整骨院や接骨院でも、通院の必要性・相当性を証明することができれば、通院として認定されます。一番安心であるのは、主治医である医師が通うよう指示をした場合や、医師が整骨院や接骨院の通院が必要であると認定した場合においては、必要性や相当性が認められる可能性が非常に高いです。

必ず医師に相談するようにしましょう。医師の中には、理由は様々ですが、整骨院や接骨院の通院を避けてほしいと考える方もいます。

もちろん、医師の指示がない場合でも、保険会社は被害者の方の状況に応じて、認めてくれることもあります。たとえば、仕事の都合上、病院の診察時間に間に合わないといった場合です。

しかしこれでは、治療の必要性や相当性を証明したことにはなりませんので、認められたとしても、限られた期間での通院となります。

なお、治療の必要性や相当性を保険会社に伝えるには、法律的、医学的知識がなければ厳しいです。

もし、整骨院や接骨院への通院をしたいけれども、保険会社に否定をされた場合は弁護士に相談することをおすすめします。

慰謝料についてのご相談は、交通事故を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイへ。

入通院慰謝料についてご説明をさせていただきました。

入通院慰謝料は、弁護士が入ることで慰謝料増額の可能性が非常に高くなります。

被害者の方本人が示談交渉を行った場合は、保険会社は任意保険基準か自賠責基準でしか提案はして来ることはありません。また、その金額が低額であるにも関わらず、適正な金額であるよう説明がなされます。

示談を成立させてしまうと、弁護士に依頼をしても取り消しは困難です。

被害者の方が覚えておいてほしいことは、示談を成立させる前に、弁護士に一度相談をすることです。慰謝料が妥当であるかどうかを確認してもらいましょう。

示談交渉の段階で弁護士基準という最も高い基準を使用できるのは、弁護士に依頼をした時のみです。

慰謝料増額をご希望の方は、交通事故を多く取り扱う大阪市・難波(なんば)・堺市の弁護士法人法律事務所ロイヤーズ・ハイにご相談ください。

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