交通事故 損害賠償
2020.08.17 2022.11.15

交通事故の加害者でも慰謝料がもらえるのか知りたい!

交通事故の加害者でも慰謝料がもらえるのか知りたい!

交通事故に遭った時に、被害者は加害者に損害賠償金を請求します。

一方で、事故の内容によっては、加害者も怪我を負う場合はあります。

そういった場合、加害者も被害者に慰謝料を請求できるのでしょうか?ここでは加害者の慰謝料についてご説明を致します。

加害者でも慰謝料の請求できるのか?

慰謝料とは、財産権以外の損害賠償のことで、精神的・肉体的苦痛を金銭的に相手に償ってもらうものです。

被害者に生じた精神的損害(苦痛)を填補(慰謝)するものであり、その金額は、精神的損害の大きさによって定まるものであるとされています(交通事故賠償法)。

交通事故の場合は、傷害を負い入院や通院した時、または後遺障害が残ってしまった時に、精神的苦痛を負ったとして請求することが可能となります。

では、加害者が慰謝料を請求できることはあるのでしょうか?

被害者にも過失がある場合

加害者が慰謝料を請求するには、まずは前提として、被害者にも過失が なければなりません。追突事故やセンターラインオーバー、信号無視など、加害者側に100%過失がある事故の場合は請求ができません。

逆を言えば、被害者に少しでも過失があれば、加害者から被害者に向けて慰謝料の請求は可能となります。

被害者に過失がある場合というのは、出合い頭の事故や右直事故など多数あります。

通院か入院している必要がある

先ほども述べたように、交通事故の損害賠償項目の1つである慰謝料は、請求する側が怪我を負っていなければ、請求はできません。

さらに、その怪我を治療するために、医師の診察を受け、入院または通院をしている必要があります。

医師の診断書もなく、自己申告で相手に怪我をしたことを伝えても、それが本当に交通事故による怪我なのかは証明ができません。

なお、これは被害者、加害者は関係ありません。

被害者が怪我を負っても病院に行かなければ、慰謝料の請求は難しいです。一方で、加害者が怪我を負って病院へ行き、しっかりと医師の診察を受け、交通事故による怪我だと診断された場合は、被害者に慰謝料を請求が可能となります。

加害者がもらえる慰謝料はどのくらい?

慰謝料計算の基準

慰謝料をはじめ、損害賠償の計算基準には、自賠責保険基準、任意保険基準、裁判所基準(弁護士基準)の3つの基準があります。

この3つの基準の中で、一番高い基準が裁判所基準、一番低い基準が自賠責基準とされております。

各基準の慰謝料計算の方法を確認してみましょう。

※慰謝料には入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料とありますが、ここでの慰謝料は入通院慰謝料の計算です。

・自賠責保険基準

自賠責保険基準の場合、1日あたり4,200円×入通院日数で計算されます。

※2020年4月1日以降の事故の場合は1日あたり4,300円

入通院日数は、下記①、②の少ない方の数字を取られます。

①実際に入院した期間と通院をした実日数を足して2倍

②総治療期間

(例)

入院期間20日、通院実日数40日、総治療期間が80日の場合

(20日+40日)×2=120日

120日>80日 のため、総治療期間の80日が採用されます。

入院期間10日、通院実日数25日、総治療期間が80日の場合

(10日+25日)×2=70日

70日<80日 のため、入院期間と通院実日数を足して2倍した方が採用されます。

・任意保険基準

各保険会社が独自のデータにて、算定する基準となります。よって、こちらの計算式は明確には明らかになっていません。

過去の実績を元に算出されておりますが、実際は自賠責保険基準と同等か、もしくは少しだけ高いとされています。

・裁判所基準

「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(通称赤い本)」を参考に、怪我の程度に合わせて、2つの表を使い分けて算出されます。

裁判所基準は通院の日数ではなく、入通院期間が基本となります。

むちうちなど他覚的所見がない場合に使用(損害賠償額算定基準:別表Ⅱ)

万円

(単位)

入院 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 7ヶ月 8ヶ月
通院 35 66 92 116 135 152 165 176
1ヶ月 19 52 83 106 128 145 160 171 182
2ヶ月 36 69 97 118 138 153 166 177 186
3ヶ月 53 83 109 128 146 159 172 181 190
4ヶ月 67 95 119 136 152 165 176 185 192
5ヶ月 79 105 127 142 158 169 180 187 193
6ヶ月 89 113 133 148 162 173 182 188 194
7ヶ月 97 119 139 152 166 174 183 189 195
8ヶ月 103 125 143 156 168 175 184 190 196

その他の怪我の場合の傷害部分の慰謝料基準表(損害賠償額算定基準:別表Ⅰ)

万円

(単位)

入院 1ヶ月 2ヶ月 3ヶ月 4ヶ月 5ヶ月 6ヶ月 7ヶ月 8ヶ月
通院 53 101 145 184 217 244 266 284
1ヶ月 28 77 122 162 199 228 252 274 291
2ヶ月 52 98 139 177 210 236 260 281 297
3ヶ月 73 115 154 188 218 244 267 287 302
4ヶ月 90 130 165 196 226 251 273 292 306
5ヶ月 105 141 173 204 233 257 278 296 310
6ヶ月 116 149 181 211 239 262 282 300 314
7ヶ月 124 157 188 217 244 266 286 304 316
8ヶ月 132 164 194 222 248 270 290 306 318

たとえば、別表Ⅰにおいて、入院が3ヶ月間で完治した場合は145万円が慰謝料となります。

入院はなく、通院のみで3ヶ月間で完治した場合は、73万円となります。

入院の後に通院があった場合は、表上にて該当する月数が交差したところとなります。

たとえば、入院3ケ月、通院3ヶ月の場合は188万円が慰謝料となります。

加害者がもらう場合の慰謝料の計算方法

基本的に加害者の慰謝料の計算方法は、被害者の慰謝料の計算方法とは変わらず、上記の3つの算定基準のいずれかで算出されます。

変わるところでいうと、過失による減額の幅です。

たとえば、加害者の過失が60%、被害者の過失が40%、加害者がむちうちで6か月通院をした場合です。

裁判所基準だと、6ヶ月の通院は別表Ⅱを確認すると、89万円となります。

ここから被害者の過失分である40%分、35万6,000円を加害者は被害者に請求ができることになります。

なお、同条件で、被害者も6ヶ月通院した場合は、加害者の過失分60%を請求できますので、53万4,000円が請求可能となります。

自賠責保険への請求

加害者の方の中には、被害者の自賠責保険を使用することに抵抗を感じる方もいらっしゃいますが、被害者に過失が1%でもある場合は、被害者の自賠責保険に被害者請求をし、保険金を請求することが可能です。

※加害者の立場であっても、自ら相手の自賠責保険に請求する場合は『被害者請求』と呼ばれます。

ただし、加害者の過失割合に応じて、保険金が以下のように減額されます。

 ・過失割合70%以上80%未満の場合…2割の減額

・過失割合80%以上90%未満の場合…3割の減額

・過失割合80%以上100%未満の場合…5割の減額

 つまり、加害者の過失が70%未満の場合は、減額はありません。

なお、この場合も加害者の過失が100%の場合は請求ができません。

まとめ

加害者の方の慰謝料についてご説明をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?

加害者とされる方の中には、過失の割合に納得がいかないまま、自身で治療費を負担している方もいらっしゃると思います。

そういった方々はまずは相手の自賠責保険に請求をしてみるのも1つの手です。場合によっては治療費や慰謝料以外にも支払われる可能性もあります。

手続きに不安がある方は、弁護士に相談をしてみましょう。

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